#制度・助成金2026.06.09 公開2026.09.08 更新読了 約8建設タレントサーチ 人事ノート 編集部

建設分野の外国人材受入れ 在留資格と手続きの実務

建設業で外国人材を受け入れるときは、在留資格の選び方と、建設分野に固有の受入計画の認定が実務の中心になります。特定技能1号と2号の違い、建設特定技能受入計画の主な要件、受け入れ後の届出と報告、社内でつまずきやすい点を、担当者が動く順序に並べて整理します。

情報の基準日
2026.09.08
制度・助成金

建設分野の外国人材受入れ 在留資格と手続きの実務

人事ノート

建設業で外国人材を受け入れる場合、他産業と同じ手続きだけでは足りません。建設分野には、国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定という固有の手続きがあります。ここを知らずに求人や内定を先に進めると、入社日が動かせなくなります。

この記事では、在留資格の選び方から、認定申請、受け入れ後の届出までを、担当者が実際に動く順序で整理します。制度は見直しが続く分野です。金額や様式、細かな期限は、必ず最新の公表資料で確認してください。

まず確認する3点

採用の話を始める前に、社内で次の3点を確認します。ここが整っていないと、そもそも受入計画の認定が取れません。

  1. 建設業の許可を受けているか。建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合、受入企業が建設業許可を受けていることが前提になります。
  2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録が済んでいるか。受け入れる外国人本人の技能者登録も必要です。
  3. 建設業者団体または国が認める団体に所属しているか。建設分野では、受入企業が特定技能外国人受入事業実施法人(一般社団法人建設技能人材機構、いわゆるJAC)に、直接または正会員である建設業者団体を通じて所属していることが求められます。負担金の支払いも生じます。

この3点は、いずれも取得や加入に日数がかかります。採用活動と並行ではなく、先に着手してください。

在留資格の種類と建設業での使い分け

「外国人を採用したい」という相談を受けたとき、最初にすべきは在留資格の切り分けです。担う仕事の内容によって、使える在留資格が変わります。

在留資格の区分主に想定される仕事建設業での位置づけ
特定技能1号型枠施工、鉄筋施工、内装仕上げなどの現場技能作業技能者としての受け入れの中心。建設分野固有の受入計画の認定が必要
特定技能2号1号と同様の作業に加え、班長など現場の中核的な役割在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同も要件を満たせば可能
技術・人文知識・国際業務施工管理、設計、積算、海外案件の通訳翻訳を伴う業務学歴または相当の実務経験が要件。現場の単純な技能作業は原則含まれない
技能実習・育成就労育成を目的とした就労技能実習制度は育成就労制度へ移行することが法律で定められています。施行時期や運用の詳細は公表資料で確認してください
永住者、日本人の配偶者等、定住者など制限なし就労内容の制限がなく、日本人と同じ手続きで採用できます
留学資格外活動許可による就労週あたりの就労時間に上限があります。常用雇用には使えません

実務でいちばん誤解が多いのは、「技術・人文知識・国際業務」で採用した人に現場作業をさせてしまう例です。施工管理として採用したのに、人手が足りない現場で職長の代わりに作業させれば、活動内容と在留資格が合わなくなります。配属先の所長にも、担当させてよい仕事の範囲を文書で伝えてください。

特定技能1号と2号の違い

建設分野は、特定技能2号の対象分野です。1号からの積み上げを前提に、社内のキャリアパスを設計できます。

項目特定技能1号特定技能2号
技能水準の確認建設分野特定技能1号評価試験、または対応する技能検定などの合格建設分野特定技能2号評価試験、または対応する技能検定の上位級の合格
実務経験原則として不要(試験ルートの場合)班長など現場を指導する立場での実務経験が求められます
日本語能力の確認日本語能力試験など、定められた試験の合格が必要試験による確認は求められていません
在留期間通算での上限が定められています更新の回数に上限がありません
家族の帯同原則として認められません要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能です
支援計画1号特定技能外国人支援計画の作成と実施が必要支援計画は求められていません

1号の技能実習修了者からの移行ルートもあります。試験の合格が免除される場合の範囲は、修了した職種や作業と、受け入れる業務区分の対応関係で決まります。個別の判断は、公表されている対応表で必ず確認してください。

なお、建設分野の業務区分は、土木、建築、ライフライン・設備の3区分に整理されています。区分に含まれる作業の範囲は公表資料に一覧があります。「うちの仕事はどの区分か」を先に確定させないと、試験区分の選択も受入計画の記載も決まりません。

受け入れまでの手続きの順序

担当者が動く順序で並べます。おおむねこの流れですが、期間は状況によって大きく変わります。

  1. 社内の受け入れ体制を決める。配属現場、指導担当者、住居、通勤手段、教育訓練の内容を先に決めます。受入計画の記載事項になるため、後回しにできません。
  2. CCUSの事業者登録とJACへの加入(所属)を済ませる。所属する建設業者団体がJACの正会員かどうかを確認します。
  3. 候補者を特定し、雇用条件を確定させる。報酬額、労働時間、休日、社会保険の加入をここで固めます。
  4. 雇用条件を本人が理解できる言語で説明し、書面で交付する。理解したことの確認まで行います。
  5. 雇用契約を締結する
  6. 本人のCCUS技能者登録を行う
  7. 建設特定技能受入計画を作成し、国土交通省へオンラインで認定申請する。手数料が必要です。金額と納付方法は公表資料で確認してください。
  8. 認定証の交付を受ける
  9. 1号特定技能外国人支援計画を作成する。自社で実施するか、登録支援機関に委託するかを決めます。
  10. 出入国在留管理庁へ在留資格の申請を行う。海外から呼ぶ場合は在留資格認定証明書の交付申請、国内在留者の切り替えなら在留資格変更許可申請です。受入計画の認定証の写しを添付します。
  11. 入社と受け入れ。事前ガイダンス、生活オリエンテーション、住居の確保などを支援計画どおりに実施します。

7番と10番の順序が逆にならない点が重要です。受入計画の認定がないと、在留資格の申請が受け付けられません。入社日から逆算して、認定申請の時期を決めてください。

建設特定技能受入計画の主な要件

認定の要件は複数あります。人事が特に押さえるべきものを整理します。

要件の柱内容
建設業の許可受入企業が建設業許可を受けていること
CCUS事業者登録と、受け入れる外国人の技能者登録
団体への所属JACへの直接加入、または正会員である建設業者団体への所属。負担金の支払い
報酬の水準同等の技能を持つ日本人と同等以上の報酬。技能の習熟に応じて昇給する仕組みを示すこと
報酬の支払方法月給制で支払うこと。日給や時間給で繁忙に応じて収入が変動する形は認められていません
教育訓練技能を習得させるための計画的な教育訓練を実施すること
受入人数の上限受け入れる特定技能外国人の数が、常勤職員の数を超えないこと。人数の数え方には除外される区分があるため、公表資料で確認してください
国内人材確保の取り組み就労環境の改善など、国内人材の確保に向けた取り組みを行っていること
説明義務雇用条件を本人が十分に理解できる言語で説明していること

月給制の要件は、日給月給の運用が根づいている会社ほどつまずきます。現場が動かない日の扱い、天候による中止の扱いを、賃金規程のどこで受けるのかを整理してください。既存の日本人技能者との差が生まれないよう、賃金体系全体を見直す機会にする会社もあります。

受入計画の記載内容が変わるときは、変更の認定が必要になる場合があります。配属先の変更、報酬の変更、業務区分の変更などが典型です。現場異動を決める前に、人事へ照会が来る流れを作ってください。

受け入れた後の届出と報告

受け入れて終わりではありません。継続的な報告義務があります。

  • 出入国在留管理庁への随時届出。雇用契約の変更や終了、支援計画の変更、受入れ困難となった場合などは、事由の発生から定められた期間内(14日以内とされています)に届け出ます。
  • 出入国在留管理庁への定期届出。受入れ状況、支援の実施状況、活動状況などを四半期ごとに届け出ます。提出期限は定められていますので、社内の締め日を先に決めておきます。
  • 国土交通省への受入計画の履行状況の報告。認定を受けた計画どおりに運用しているかを、定められた時期に報告します。
  • 巡回指導への対応。国土交通省または国が指定する機関による受け入れ状況の確認が行われます。賃金台帳、出勤記録、教育訓練の記録、雇用条件書の控えを、いつでも出せる状態で保管してください。

届出を落とすと、次の受け入れができなくなるおそれがあります。担当者が一人に集中していると、退職や異動で止まります。届出の一覧と期限を業務手順書にし、代替担当を決めてください。

よくあるつまずき

  • 内定を出してから受入計画に着手する。認定と在留資格の申請に必要な期間を見込まず、本人に伝えた入社日を守れなくなります。候補者の信頼を失い、紹介元との関係も悪くなります。
  • 業務区分と実際の作業がずれる。受入計画では内装仕上げの区分で申請したのに、現場では別の作業が中心になっているという例です。現場所長に区分の意味を説明していないことが原因になります。
  • 日給制のまま契約してしまう。月給制の要件を満たさず、認定が受けられません。賃金規程の改定に時間がかかることを見込んでください。
  • CCUSの登録が本人分だけ漏れる。事業者登録は済んでいても、技能者登録を忘れる例があります。申請直前に気づくと日程が崩れます。
  • 住居の確保を本人任せにする。1号では支援計画に基づく住居確保の支援が必要です。社宅の空きや保証人の扱いを、採用前に確認してください。
  • 技能実習からの移行で試験免除を思い込む。修了した職種と受け入れる区分の対応を確認せずに進めると、後から試験合格が必要と判明します。
  • 同等報酬の説明ができない。日本人技能者の賃金データを整理していないため、同等以上であることを示せません。職種別、経験年数別の賃金表を用意しておきます。

社内で先に決めておくこと

受け入れを継続的な仕組みにするなら、次の項目を文書化してください。採用のたびに議論しなくて済みます。

決めること決め方の目安
受け入れる区分と現場通年で仕事量が安定している区分から始めます
指導担当者現場ごとに1名を指名し、指導時間を業務として認めます
賃金の位置づけ職種別の賃金表に組み込み、昇給の条件を明文化します
教育訓練の年間計画安全衛生教育、技能講習、日本語学習の機会を年単位で組みます
生活支援の分担自社で行う範囲と、登録支援機関に委託する範囲を線引きします
届出と報告の担当主担当と代替担当を置き、期限を業務手順書に記載します
2号への移行方針どの時点で受験を勧め、どのような処遇に反映するかを示します

2号への移行方針を示せるかどうかは、定着に直結します。1号の在留期間には通算の上限があります。その先が見えない職場は選ばれません。班長として育てる道筋を、入社時に説明できる形にしておいてください。

制度の細部は見直しが続きます。育成就労制度への移行、業務区分の運用、試験の実施回数などは、公表資料で最新の内容を確認してください。個別の事案は、行政書士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。

出典

  • 国土交通省「建設分野における特定技能外国人材の受入れ」

(情報の基準日:2026年9月8日)

出典

  • 国土交通省「建設分野における特定技能外国人材の受入れ」

本記事は建設タレントサーチ 人事ノートが作成しています。法令・制度は改定されることがあるため、 実務にあたっては官公庁の最新の公表資料をご確認ください。 個別の判断が必要な事案は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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