年間休日と週休2日を就労条件総合調査で比べる
人事ノート採用の場面で最も比較されやすい条件のひとつが年間休日です。応募者は数字で見比べますが、社内では数え方がそろっていないことが多くあります。まず自社の数え方を確定し、そのうえで厚生労働省「就労条件総合調査」の該当表と突き合わせる、という順序が実務的です。
この記事では具体的な統計数値は書きません。数値は調査年によって変わるため、必ずその年の公表資料で確認してください。ここで示すのは、どの表を見て、どう突き合わせ、誰がいつまでに何を決めるかという手順です。
まず自社の年間休日総数を確定する
休日と休暇は分けて数える
年間休日総数は「労働義務がない日」の合計です。年次有給休暇のように、労働日の労働義務を個人ごとに免除するものは含めません。ここを混ぜると、社内資料と求人票と統計の三つが合わなくなります。
| 項目 | 年間休日総数に入れるか | 考え方 |
|---|---|---|
| 就業規則で定めた所定休日(日曜、土曜、指定日など) | 入れる | 就業規則の休日条項が根拠になります |
| 国民の祝日を休日としている場合 | 入れる | 会社が休日と定めているかどうかで判断します |
| 全員一律の夏季休暇・年末年始休暇 | 入れる | 「休暇」と呼んでいても、全員が休む所定休日なら休日日数です |
| 年次有給休暇 | 入れない | 労働日に労働義務を免除するものです |
| 慶弔休暇などの特別休暇 | 入れない | 事由が生じた人だけが取得するものです |
| 振替休日・代休 | 入れない | 休日を移す、または事後に与えるもので総数は増えません |
| 現場の閉所日だが就業規則上の休日ではない日 | 整理が必要 | 所定休日か、休業か、他日振替かを先に決めます |
法令上の下限と、週40時間から出る目安
休日については、労働基準法第35条で毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上と定められています。これは下限であり、年間休日の水準そのものを定めたものではありません。
実務では、法定労働時間の週40時間の枠から年間休日の目安を出す考え方が使われます。1日の所定労働時間を8時間とすると、1年365日で使える所定労働時間は「365÷7×40」で約2085時間です。これを8時間で割ると年間の所定労働日数は約260日となり、365日から引いた約105日が年間休日の目安になります。所定労働時間が7時間30分などの場合は結果が変わりますので、自社の所定労働時間で計算してください。
誰がいつまでに
- 人事担当者が、就業規則の休日条項と当年の年間カレンダーを突き合わせ、年間休日総数を1つの数字に確定します。
- 対象期間(暦年か年度か)と起算日をあわせて記録します。
- 部門別・職種別に所定休日が違う場合は、区分ごとに数字を出します。ここを1つにまとめると、あとで求人票が実態と合わなくなります。
就労条件総合調査で何が分かるか
就労条件総合調査は厚生労働省が実施する調査で、労働時間制度、賃金制度、退職給付制度などを扱います。休日に関する項目もこの調査に含まれます。調査の対象範囲(企業規模の下限など)、調査時点、集計の対象期間は年によって説明が異なりますので、その年の資料の「調査の概要」を先に読んでください。
| 見る項目 | 主な区分 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 週休制の形態 | 何らかの週休2日制、完全週休2日制など | 求人票の週休表記が一般的な水準かを確かめる |
| 1企業平均年間休日総数 | 企業規模別、産業別 | 会社単位で見た自社の位置づけ |
| 労働者1人平均年間休日総数 | 企業規模別、産業別 | 働く人の側から見た水準 |
| 年間休日総数の階級別企業割合 | 休日日数の階級 | 分布のどこに自社があるか |
| 変形労働時間制の採用状況 | 制度の種類別 | 年間カレンダー方式の一般性を確認 |
| 年次有給休暇の付与日数・取得日数・取得率 | 企業規模別、産業別 | 休日と有給を分けて議論する材料 |
1企業平均と労働者1人平均の違い
同じ休日日数の集計に、企業を単位とした平均と、労働者を単位とした平均の2つがあります。前者は企業を1社ずつ数えた平均、後者は労働者数で重みづけした平均に相当します。企業規模によって休日日数の水準が異なるため、2つの数字は一致しません。社内で「業界平均」として1つの数字だけを回すと、比較の前提が伝わらなくなります。両方を並べ、どちらの数字かを明記してください。
週休制の言葉の使い分け
調査では週休制の形態が区分されています。求人票で使う表記との対応を、社内で先にそろえておくと食い違いが減ります。
| 表記 | 意味 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| 完全週休2日制 | 毎週必ず2日の休みがある | 隔週で土曜出勤がある場合は該当しません |
| 週休2日制 | 週2日の休みがある週が月に1回以上ある | 毎週2日休めるという意味ではありません |
| 4週8休 | 4週間を通じて8日の休みがある | 週単位では2日にならない週が生じます |
| 隔週週休2日 | 2週のうち1週が2日休み | 年間休日総数を併記しないと水準が伝わりません |
表記だけでは実際の休日日数が伝わりません。求人票では、週休の形態と年間休日総数の両方を書くことをおすすめします。
比較の手順
- 自社の年間休日総数を確定します。就業規則と年間カレンダーを根拠にし、部門別・職種別に分けます。
- 比較する区分を決めます。産業は建設業、企業規模は自社が属する区分を選びます。
- 就労条件総合調査の該当表を開き、1企業平均と労働者1人平均の両方を記録します。調査年と集計の対象期間もあわせて記録します。
- 年間休日総数の階級別の表で、自社がどの階級に入るかを確認します。平均との差より、分布のどこにいるかのほうが採用の議論では使いやすいです。
- 週休制の形態の表で、完全週休2日制などの割合を確認し、自社の表記と比べます。
- 自社の実績値を出します。所定休日のうち実際に休めた日数、振替や代休の残数を職種別に集計します。所定と実績のかい離が大きい場合、求人票の数字だけを直しても入社後の不満は残ります。
- ここまでを1枚にまとめ、採用会議で共有します。担当は人事、期限は年間カレンダーを確定する時期の前に置くと、改定の議論につなげやすくなります。
建設業のデータとして読むときの注意
- 産業別の集計は企業規模を合わせた数字であることが多く、産業と規模を掛け合わせた細かい区分は限られます。自社と近い条件で比べたい場合は、規模別の表と産業別の表を分けて見て、その差を説明できる形で使ってください。
- 調査は企業単位の制度を聞くものです。本社の事務部門と作業所では所定休日が違う会社もあります。企業単位の数字と、現場の実態は別に扱ってください。
- 所定休日と現場の閉所は別の話です。閉所の状況は、この調査ではなく自社の実績や発注者の資料で確認してください。
- 集計の対象期間は前の1年間である場合があります。公表年と実態の年がずれることを前提に、求人票や社内資料には「何年の調査か」を必ず書いてください。
- 数値は年によって上下します。前年の資料を使い続けると説明が古くなりますので、更新の担当と時期を決めておいてください。
年間休日を増やすときの実務手順
- 現状把握を行います。部門別・職種別の所定休日、実績、振替と代休の未消化を出します。
- 増やし方の選択肢を並べます。月内の土曜閉所日を固定する、祝日の扱いを見直す、夏季と年末年始の日数を見直す、1年単位の変形労働時間制で年間カレンダーとして組む、などが考えられます。1年単位の変形労働時間制を使う場合は、対象期間が一定の長さを超えると年間の労働日数に上限が設けられています。具体的な日数と手続は、労働基準法と関係する規則、厚生労働省の解説資料で確認してください。
- 労働時間制度との整合を確認します。休日を増やすと1日の所定労働時間や時間外労働の扱いに影響します。時間外労働の上限規制や割増賃金の計算とあわせて点検してください。
- 就業規則と年間カレンダーを改定します。労働者代表の意見聴取、行政官庁への届出、従業員への周知という順序を守ります。改定は年間カレンダーの確定時期に間に合うよう逆算します。
- 求人票と労働条件通知書の記載を書き換えます。週休の形態、年間休日総数、休日出勤時の振替と代休の運用を、同じ言葉で統一します。
- 発注者や元請との工期の協議に反映します。休日を増やす方針は、工程計画と切り離しては実行できません。
よくあるつまずき
- 求人票に「完全週休2日制」と書きながら、括弧内に「隔週土曜出勤あり」と補足している。表記が矛盾しており、面接での不信につながります。
- 年間休日総数に、年次有給休暇の取得を前提とした日数を足している。統計と比べられない数字になります。
- 4週8休を完全週休2日制と表記している。区分の意味が違います。
- 1企業平均と労働者1人平均を取り違えて比較している。差の説明ができなくなります。
- 調査の集計対象期間を確認せず、公表年をそのまま「今の水準」として社内に説明している。
- 就業規則の休日条項が「会社カレンダーによる」だけで、日数の根拠が書かれていない。統計と比較する土台がありません。
- 現場社員が所定休日に出勤し、代休が消化されないまま残っている。所定の数字だけを整えても、入社後の早期離職の原因になります。
面接と求人票での説明の作り方
数字を出すだけでは、応募者の判断材料になりません。年間休日総数と週休の形態に加えて、休日をどう確保しているかを説明できるようにしておいてください。具体的には、現場の閉所日の決め方、休日出勤が発生したときの振替と代休のルール、代休の取得期限、休日出勤の記録の残し方です。ここを言葉にできる会社は、面接での説明が安定します。
休日制度の変更は、就業規則の不利益変更や割増賃金の計算に関わることがあります。個別の事案は、社内で結論を出す前に社会保険労務士などの専門家に相談してください。
出典
厚生労働省「就労条件総合調査」
出典
- 厚生労働省「就労条件総合調査」
本記事は建設タレントサーチ 人事ノートが作成しています。法令・制度は改定されることがあるため、 実務にあたっては官公庁の最新の公表資料をご確認ください。 個別の判断が必要な事案は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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