掲載求人の約6割は施工管理 職種構成比の読み方
人事ノートこの記事で使う集計の範囲
当社「建設タレントサーチ」に掲載中の求人のうち、年収が明示されているもの4,919件を、職種カテゴリ別に数えました。基準日は2026年9月8日です。
前提を先に3つ書きます。ここを落とすと、社内で数字を共有したときに話がかみ合いません。
- 対象は「当社に掲載されている求人」です。建設業界全体の求人総数ではありません。
- 対象は「年収が明示されている求人」に限っています。年収の記載がない求人は件数に入っていません。
- 数えているのは求人の件数です。応募数や採用人数ではありません。
つまりこの構成比は、当社に集まる求人という限られた窓から見た、募集側の偏りです。市場のシェアではありません。資料に転記するときは、必ず「掲載求人ベース・年収明示分・n=4,919・基準日2026年9月8日」を添えてください。
職種カテゴリ別の件数と構成比
| 職種カテゴリ | 件数(n) | 構成比 |
|---|---|---|
| 施工管理 | 2,909件 | 59.1% |
| 設計 | 853件 | 17.3% |
| 営業 | 482件 | 9.8% |
| 建設コンサルタント | 205件 | 4.2% |
| 品質・保全・その他 | 198件 | 4.0% |
| 測量・積算・CAD | 169件 | 3.4% |
| 不動産 | 103件 | 2.1% |
| 合計 | 4,919件 | 100% |
構成比は小数第1位で丸めているため、合計が100%と一致しない場合があります。
この表から計算できることを並べます。いずれも上の件数だけを足し引きしたものです。
- 施工管理の1カテゴリで、全体の約59%を占めます。
- 施工管理と設計の2カテゴリで3,762件、全体の約76.5%です。
- 上位3カテゴリ(施工管理・設計・営業)で4,244件、全体の約86.3%です。
- 下位4カテゴリ(建設コンサルタント・品質保全その他・測量積算CAD・不動産)の合計は675件で、全体の約13.7%にとどまります。
- 施工管理以外の合計は2,010件、約40.9%です。
件数の桁が違うことに注意してください。施工管理2,909件と不動産103件では、約28倍の差があります。同じ「1カテゴリ」として横並びに眺めると、判断を誤ります。
この数字から言えること、言えないこと
| 論点 | このデータで言えるか | 理由 |
|---|---|---|
| 当社掲載求人の職種の偏り | 言える | 掲載件数を全件数えた集計です |
| 施工管理の求人は他職種より多く掲載されている | 言える | n=2,909で最多です |
| 施工管理は採用しやすい | 言えない | 件数は募集側の数です。応募のしやすさは示しません |
| 業界全体の職種別求人比率 | 言えない | 当社掲載分に限った集計です |
| 職種別の求人の増減傾向 | 言えない | 基準日1時点の集計で、期間比較をしていません |
| 地域別・経験年数別の偏り | 言えない | 今回の集計に地域と経験年数の区分がありません |
| 年収非明示求人を含めた構成比 | 言えない | 年収明示分のみを対象にしています |
特に注意したいのは、3行目です。掲載件数が多い職種は、募集している会社が多い職種でもあります。約59%が施工管理という状態は、施工管理の求人票が最も比較されやすい状態だとも読めます。「件数が多い=採りやすい」とは読まないでください。
構成比を自社の採用計画に落とす手順
数字を眺めるだけでは動きません。次の順で作業してください。担当と時期の目安も付けます。
- 自社の募集枠を同じ7区分に置き換える(採用担当/募集開始の2週間前まで)。自社の呼称のままでは比較できません。たとえば「積算」を設計に入れるのか測量・積算・CADに入れるのかを先に決め、社内で固定します。
- 各枠が多数派か少数派かを判定する(採用担当/同時期)。目安は、施工管理・設計・営業を多数派、残りの4カテゴリを少数派として扱います。
- 多数派の枠は「比較される前提」で点検する(採用担当+現場責任者/掲載前)。同カテゴリに他社の求人が多数あるため、勤務地・工事種別・配属先の情報量が薄いと読み飛ばされます。
- 少数派の枠は「見つけてもらう前提」で点検する(採用担当/掲載前)。母集団が小さいため、職種名の表記ゆれと掲載期間の短さが致命傷になります。1カテゴリ全体で103件から205件しかない領域です。
- 年収の下限を自社の提示額と並べる(人事+管理部門/要件確定時)。後述の中央値は上下半分の境目であり、相場の保証ではありません。
- 経営層への説明資料に、件数(n)と集計範囲を必ず入れる(人事/会議の3営業日前まで)。構成比だけを貼ると、業界全体の数字として受け取られます。
- 四半期ごとに同じ区分で数え直す(人事/各四半期の初月)。基準日を書き残し、前回との比較は基準日どうしで行います。
年収の中央値を構成比とあわせて読む
同じ集計対象について、年収下限と上限の中央値も出しています。件数の少ないカテゴリでは、1件の増減が中央値を動かしやすい点に留意してください。
| 職種カテゴリ | 件数(n) | 年収下限の中央値 | 年収上限の中央値 | 中央値の差 |
|---|---|---|---|---|
| 施工管理 | 2,909件 | 450万円 | 700万円 | 250万円 |
| 設計 | 853件 | 500万円 | 800万円 | 300万円 |
| 営業 | 482件 | 450万円 | 800万円 | 350万円 |
| 建設コンサルタント | 205件 | 500万円 | 780万円 | 280万円 |
| 品質・保全・その他 | 198件 | 460万円 | 750万円 | 290万円 |
| 測量・積算・CAD | 169件 | 450万円 | 720万円 | 270万円 |
| 不動産 | 103件 | 500万円 | 700万円 | 200万円 |
右端の「中央値の差」は、上限の中央値から下限の中央値を引いた値です。求人1件ごとのレンジ幅を集計して中央値を取ったものではありません。個々の求人の幅を代表する数値ではないため、目安として扱ってください。
読み方の要点は2つです。第1に、下限の中央値は450万円から500万円の間に7カテゴリすべてが収まっています。カテゴリ間の下限の開きは、この集計では50万円です。第2に、上限の中央値は700万円から800万円に分布しており、下限より差が出ています。件数が最も多い施工管理は、下限450万円・上限700万円で、差は7カテゴリの中では小さい側にあります。
なお、賃金水準の設計は自社の賃金制度、等級、地域の事情に左右されます。この中央値をそのまま自社の提示額の根拠にはできません。制度に関わる判断は、社内の賃金規程の担当者や専門家に確認してください。
件数が少ないカテゴリの扱い方
下位4カテゴリは、いずれも件数が103件から205件です。次のように扱い方を分けると、判断を誤りにくくなります。
| 件数の目安 | 該当カテゴリ | 使い方 |
|---|---|---|
| 1,000件以上 | 施工管理 | 職種内をさらに分けて見ても件数が残ります。社内資料の主軸に使えます |
| 400件以上1,000件未満 | 設計、営業 | カテゴリ全体の傾向把握に使えます。細分化すると件数が薄くなります |
| 400件未満 | 建設コンサルタント、品質・保全・その他、測量・積算・CAD、不動産 | 傾向の目安にとどめ、単独の指標で条件を決めません |
「品質・保全・その他」は、その他を含む区分です。中身が均一ではないため、他のカテゴリと同じ精度で比べないでください。
よくあるつまずき
- 「6割が施工管理だから施工管理は採りやすい」と読む。件数は募集側の数です。募集が多いことは、同じ人材を探す会社が多いことも意味します。
- 構成比を社外資料に「建設業界の職種比率」として載せる。当社掲載分・年収明示分に限った数字です。出典と範囲を書かないまま外に出すと、後から訂正が必要になります。
- 年収非明示の求人を除いた集計であることを落とす。年収を書かない求人の割合が職種によって違えば、構成比もその分だけ動きます。今回の数字はあくまで年収明示分の分布です。
- n=103のカテゴリの中央値を、条件設計の唯一の根拠にする。件数が少ない区分の中央値は動きやすく、1万円単位の意思決定には向きません。
- 自社の職種区分と当社の区分をそろえないまま比べる。積算やCADの担当を設計に含めている会社では、比較の土台がずれます。読む前に対応表を作ってください。
- 基準日を書かずに前回の集計と比べる。掲載求人は入れ替わります。基準日のない比較は、増減の議論になりません。
- 上位3カテゴリで約86%という数字だけを取り出して、残りを「需要がない」と結論づける。件数が少ないことと、需要がないことは別です。掲載の窓が狭いだけの可能性があります。
社内共有のときの3行
最後に、そのまま会議資料に転記できる形にまとめます。
- 当社掲載求人(年収明示分・n=4,919・基準日2026年9月8日)の約59%が施工管理で、上位3カテゴリで約86%を占めます。
- 多数派の職種は比較される前提、少数派の職種は見つけてもらう前提で、求人の設計を分けます。
- この数字は当社に集まる求人の偏りであり、業界全体の求人比率や採用の難易度そのものではありません。
出典
- 建設タレントサーチ 掲載求人データ(掲載中の求人のうち年収明示分4,919件、基準日2026年9月8日)
出典
- 建設タレントサーチ 掲載求人データ
本記事は建設タレントサーチ 人事ノートが作成しています。法令・制度は改定されることがあるため、 実務にあたっては官公庁の最新の公表資料をご確認ください。 個別の判断が必要な事案は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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