#制度・助成金2026.10.17 公開読了 約8分建設タレントサーチ 人事ノート 編集部

特定技能 受入れ後に続く事業者の義務と届出

建設分野で特定技能外国人を受け入れた後も、事業者には支援計画の実施、入管への定期・随時の届出、建設特定技能受入計画の遵守、CCUSでの就業履歴の蓄積などの義務が続きます。誰が・いつまでに・何をするかを、社内の担当割りまで落とせる形で整理します。

情報の基準日
2026.10.16
制度・助成金

特定技能 受入れ後に続く事業者の義務と届出

人事ノート

建設分野の特定技能は、在留資格の許可が下りた時点で手続が終わるわけではありません。受け入れた後も、事業者(特定技能所属機関)には支援、届出、報告、処遇の維持といった義務が続きます。しかも建設分野は、他分野にない上乗せの基準が置かれています。採用担当者が「入管に出す書類」と「国土交通省に出す書類」を混同したまま走り出すと、更新の時期になって慌てることになります。

この記事では、受入れ後に続く義務を、実務の順序に並べ替えて整理します。制度の細目は改正されることがあるため、様式や提出期限は必ず公表資料の最新版で確認してください。

受入れ後に続く義務の全体像

受入れ後の義務は、大きく4つの系統に分かれます。担当部署が分かれやすいので、最初に整理しておきます。

系統主な内容主な宛先社内で担う部署の例
雇用管理雇用契約の適正な履行、報酬の支払、労働・社会保険、安全衛生自社内(労働基準監督署等への通常の手続を含む)人事・総務
支援1号特定技能外国人支援計画の実施、定期面談、相談対応自社または登録支援機関人事・受入れ現場
入管への届出定期届出、随時届出出入国在留管理庁人事
建設分野の上乗せ建設特定技能受入計画の遵守と変更、CCUSでの就業履歴蓄積、受入れ後講習、巡回訪問への対応、業界団体への加入維持国土交通省、関係機関人事・工事部門

特に四つ目の「建設分野の上乗せ」は、人事だけで完結しません。就業履歴の蓄積は現場の運用に関わり、従事させる業務区分の管理は工事部門の配置判断に関わります。受入れの前に、どの部署が何を見るかを決めておきます。

建設特定技能受入計画を守り続ける

建設分野では、受入れの前に国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受けます。この計画は、認定を取れば終わりではありません。認定された内容のとおりに受け入れることが、受入れ後の義務になります。

計画に書かれている主な事項は次のとおりです。

  • 建設業の許可を受けていること
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)に事業者登録し、受け入れる本人も技能者登録していること
  • 国土交通大臣が認める建設業者団体に、直接または間接に加入していること
  • 報酬を月給制で支払い、同等の技能を有する日本人と同等以上とすること
  • 技能の習熟に応じて昇給させること
  • 受入れ人数が、常勤職員の数を基準とする枠の範囲内であること
  • 従事させる業務区分が、認定された内容の範囲内であること

変更が生じたときの動き方

次のような変化があったときは、計画の変更について手続が必要になる場合があります。放置すると、在留期間の更新の際に問題になります。

  1. 受け入れる人数を増やす、または別の業務区分に従事させる
  2. 報酬の額や支払方法を変更する
  3. 社名、所在地、建設業許可の内容が変わる
  4. 本人が退職する、または新たに受け入れる

どの変更が「変更認定」で、どれが「軽微な変更の届出」にあたるかは区分が細かく、改正もあります。該当しそうな事象が起きた時点で、国土交通省の公表資料で区分と様式を確認してください。判断に迷う場合は、行政書士など手続の専門家に相談することをおすすめします。

入管への届出 いつ何を出すか

出入国在留管理庁への届出は、定期と随時の2種類です。期限を過ぎると、受入れ機関としての適格性に影響します。

区分主な届出事項期限の考え方
随時届出雇用契約の変更・終了、新たな雇用契約の締結、支援計画の変更、支援委託契約の締結・変更・終了、受入れが困難となったとき、出入国または労働に関する法令の不正行為を知ったとき事由が発生した日から14日以内
定期届出受入れ状況、支援の実施状況、報酬の支払状況四半期ごと(具体的な提出期限と様式は公表資料で確認してください)

「受入れが困難となったとき」には、本人が行方不明になった場合や、工事量の減少で雇用を継続できなくなった場合が含まれます。現場から「来ていない」という報告が上がってから人事に届くまで数日かかる会社が多く、14日はすぐに過ぎます。連絡経路を先に決めておきます。

社内での期限管理のつくり方

  1. 届出が必要になる事象を一覧にし、現場監督と事務担当に配布します。
  2. 事象を知った人が、その日のうちに人事へ連絡する経路を決めます(電話と記録の両方を残します)。
  3. 人事は受付日を台帳に記録し、期限日を逆算して記入します。
  4. 提出後の控えを、本人ごとのファイルに保管します。
  5. 定期届出は、四半期の区切りを年間予定表に入れ、担当と代理担当を決めます。

帳簿や支援の記録は一定期間の保存が求められます。保存すべき書類の範囲と期間は公表資料で確認し、本人ごとに紙または電子でまとめて残してください。

支援計画の実施 誰が何をするか

1号特定技能外国人には、支援計画に基づく支援が必要です。支援は自社で行うことも、登録支援機関に委託することもできます。委託しても、受入れ機関としての責任がなくなるわけではありません。

支援の項目には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保と生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続への同行、日本語学習の機会の提供、相談や苦情への対応、日本人との交流の促進、本人の責めによらない雇用契約の解除時の転職支援、定期的な面談と行政機関への通報が含まれます。

受入れ後に継続するのは、主に次の部分です。

支援の内容頻度の目安担うのは
相談・苦情への対応随時(本人が理解できる言語で対応)支援担当者または登録支援機関
定期面談(本人および監督する立場の者)おおむね3か月に1回以上支援責任者または支援担当者
日本語学習の機会の提供継続支援担当者
日本人との交流促進継続受入れ現場
法令違反を知ったときの通報把握した時点で速やかに支援責任者

委託している場合でも、面談記録の写しは自社で受け取り、内容に目を通してください。定期届出には支援の実施状況を書きます。記録が手元にないと、届出の時期に登録支援機関へ照会する手間が毎回発生します。

建設分野で特に見落とされやすい運用

就業履歴の蓄積

CCUSへの登録だけでなく、就業履歴が実際に蓄積されているかを確認します。現場側の現場登録やカードリーダーの運用が整っていないと、登録していても履歴が残りません。自社が元請でない現場に入ることが多い会社ほど、ここが抜けます。月に一度、蓄積状況を確認する担当を決めておきます。

受入れ後講習と巡回訪問

建設分野では、受入れ後に本人が講習を受ける仕組みと、受入れ企業への巡回訪問や母国語での相談対応の仕組みが設けられています。これらは一般財団法人国際建設技能振興機構が担っています。訪問の連絡が来たら、賃金台帳、出勤記録、雇用契約書、支援の記録を揃えておきます。日程と準備物は案内に従ってください。

業界団体への加入と負担金

一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に、正会員である建設業者団体を通じて、または賛助会員として加入している状態を維持する必要があります。受入れ負担金の支払が滞ると、受入れの要件を満たさなくなるおそれがあります。経理と人事の間で、支払先と金額の確認経路を決めておきます。

報酬の月給制

建設分野では、報酬を月給制で支払うことが求められます。形式は月給でも、欠勤や雨天中止のたびに控除が積み上がり、実質的に日給の扱いになっていないかを確認します。昇給についても、技能の習熟に応じた取扱いを就業規則や賃金表で説明できる形にしておきます。

よくあるつまずき

  • 登録支援機関に委託したことで安心し、面談記録を一度も見ていない。定期届出の時期に内容を確認できない。
  • 現場の都合で、認定された業務区分の外にあたる作業に従事させてしまう。配置を決める工事部門に、区分の範囲が共有されていない。
  • 本人が引っ越したのに、社宅担当だけが把握していて人事に伝わらない。届出や緊急連絡先の更新が遅れる。
  • 在留期間の満了日を本人任せにしていて、更新の準備が直前になる。必要書類の収集に時間がかかり、現場の配置計画が崩れる。
  • 通算の在留期間の上限を意識しておらず、将来の人員計画に反映できていない。特定技能2号や他の制度への移行を検討する時間が取れない。
  • 退職の申出を受けたが、随時届出の対象だと気づかず14日を過ぎる。

受入れ後の年間の段取り

年度の初めに、次の形で予定表を作ると抜けが減ります。

時期やること担当
四半期ごと入管への定期届出、支援記録の受領と確認人事
毎月CCUSの就業履歴の蓄積確認、賃金台帳と月給制の確認人事・工事部門
3か月に1回以上定期面談の実施と記録の保管支援責任者または登録支援機関
在留期間満了の3〜4か月前更新書類の準備着手、計画の変更要否の確認人事
事象が起きた都度随時届出、計画の変更手続人事

受入れ人数が少ないうちは個人の記憶で回りますが、2人目、3人目と増えると必ず崩れます。最初の1人のときに台帳と予定表の形を作っておくことが、結果として手間を減らします。

制度の細目は見直されることがあります。この記事は実務の順序を示すものであり、個別の判断は国土交通省および出入国在留管理庁の公表資料を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

よくある質問

Q. 支援を登録支援機関に全部委託していれば、自社は何もしなくてよいのですか

支援の実施を委託することはできますが、受入れ機関としての責任は自社に残ります。入管への定期届出には支援の実施状況を記載するため、面談記録などの写しは自社でも受け取り、内容を確認してください。委託先との契約を変更したり終了したりした場合は、随時届出の対象になります。

Q. 工事量が減って、受け入れた本人を予定どおり就業させられません。どうすればよいですか

受入れが困難となったときは、随時届出の対象になります。事由が発生した日から14日以内が目安ですので、まず社内で事実を確定し、届出の準備を進めてください。あわせて、自社グループ内での配置転換や、業界団体を通じた支援の仕組みが使えるかを確認します。解雇や契約終了を検討する場合は、労働法令上の手続も別に必要になるため、専門家に相談することをおすすめします。

Q. 現場が変わるたびに、建設特定技能受入計画の手続が必要になりますか

就業する現場が変わること自体で毎回手続が生じるわけではありませんが、従事させる業務区分や報酬、受入れ人数など、計画に記載した内容が変わる場合は変更の手続が必要になります。どの変更が変更認定にあたり、どれが届出で足りるかは区分が細かいため、該当しそうな時点で国土交通省の公表資料を確認してください。現場側には、認定された業務区分の範囲を先に共有しておくと安全です。

Q. 定期届出の提出期限を過ぎてしまった場合、どうなりますか

届出は法令上の義務ですので、遅れた場合は速やかに提出し、遅延の理由を記録に残してください。届出を怠った状態が続くと、受入れ機関としての適格性や、その後の在留期間更新の審査に影響するおそれがあります。処分の内容や扱いは事案によって異なるため、公表資料で確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

Q. 在留期間の通算が上限に近づいた社員について、早めに何を検討すべきですか

特定技能1号には在留期間の通算の上限があります。上限が近づく人がいる場合は、特定技能2号への移行が可能か、本人の技能評価や実務経験が要件を満たすかを、余裕をもって確認してください。要件や必要な試験の内容は制度の見直しが行われることがあるため、最新の公表資料で確認し、人員計画にも反映させておくことをおすすめします。

出典

  • 国土交通省「建設分野における特定技能外国人材の受入れ」

本記事は建設タレントサーチ 人事ノートが作成しています。法令・制度は改定されることがあるため、 実務にあたっては官公庁の最新の公表資料をご確認ください。 個別の判断が必要な事案は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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